第14回 西淀病院喘息学習会の報告
「第14回 西淀病院喘息学習会」報告
日時 2019年10月26日(土)
時間 14時~16時30分
場所 西淀病院医局会議室
講師 呼吸器内科医 大野啓文 冨士代真希薬剤師(あおぞら薬局)
①「発作時の経口ステロイドの使い方」
発作時に短期間使う経口ステロイドの使い方と注意点を説明しました。気管支炎・肺炎などが合併するときもあるので、症状の注意点と抗生剤の併用も必要なことがあること。短期間だからと安易に使いすぎることの注意、年に4回以上使うと副作用が増えるという報告もあります。(講師 大野)
②「非喫煙者はCOPDにならないのか」
喫煙患者からCOPDになる場合が多いが、小児期の肺感染症や低体重出産により肺の発育不良が原因で呼吸機能が低下していて加齢による呼吸機能低下が加わりCOPDになることがあります。COPDの定義に『肺の炎症性疾患である』という文言がありましたが2018年のガイドラインから消えました。その他職業などの環境暴露などタバコ以外のCOPDの原因があります。(講師 大野)
③「発作予防に役立つグッズの紹介」
Googleトレンドの紹介と利用例、市販されているマスクと装着の注意点、花粉ブロック商品の紹介などを行いました。(講師 冨士代)
④最新のトピックス 今年の喘息に関する学会の話題から
・軽症の気管支喘息の治療にシムビコートの発作時屯用使用だけで治療しても有効だという報告が海外からありました。シムビコートは長時間作用型気管支拡張剤+吸入ステロイドの合剤ですが吸入するとすぐ気管支拡張作用が出現し、発作時にも効果があるとされてきました。シムビコートを定期吸入しながら屯用する方法は認められていますが、屯用だけという使い方は日本ではまだ認められていません。メプチンエアーだけを吸って発作を抑えるより、吸入ステロイドが入っている分だけ喘息には有効だとは思いますが、今後、軽症喘息の治療について議論を呼びそうです。
・新型たばこが世界の中でも特に日本で広がっています。新型たばこには多くの有害物質が含まれており(ネットでは害がないと堂々と宣伝しているものもある)日本の若者の間に広がっています。これからは新型たばこへの禁煙対策も重要になってきます。(講師 大野)
⑤喘息からみたACO(肺気腫合併喘息)と3成分合剤吸入薬の紹介「テルリジー・ビレーズトリ」
喘息とCOPDの両方の特徴を備えているものを最近はACOとよびます。ACOの診断基準や特徴、治療薬の違いなどを解説しました。また最近発売された長期作用型気管支拡張剤+長期作用型抗コリン剤+吸入ステロイド剤の3剤が一つになった製剤、テルリジ―(パウダー製剤)とビレーズトリ(エロゾル剤)の解説、喫煙の影響などの解説をしました。(講師 冨士代)
⑥認知症予防で心掛けたいこと
認知症は世界でも増加しています。そんな中、認知症の発症率を低下させたイギリスの国を挙げての取り組み(減塩、禁煙、運動など生活習慣の是正)を説明しました。また高齢者の残歯数の少ない人は認知症になりやすく、予防的な歯科受診が重要なこと、中年期の難聴も認知症リスクということで補聴器対策などの重要性を説明しました。(講師 大野)
参加者 17名
アンケート結果(主な感想)
- ・自分の呼吸機能データしか見たことがなかったので、わかっているつもりだったが、いろんな人の例をみて肺年齢の意味などがよくわかった。
- ・COPDについて新しいことがわかりました。
- ・久しぶりの参加、興味深いテーマで参考になった。
- ・この会があって心強い。喘息患者さんと交流できて安心している。
- ・Googleトレンドのことはあまり知らなかったので参考になった。
- ・懐かしい人達にお会いできてうれしかった。次回まで元気に頑張ります。
- ・お話がわかりやすくよかった。
今回は講義の合間に参加者の皆さんに一言、感想やメッセージをお願いして交流を少し深めました。
今回から薬剤師さんが交代して、各務さんから冨士代真希さんになりました。よろしくお願いします。
次回の予定
第15回を予定していましたが、新型コロナ・ウイルス感染拡大のため、延期いたします。 日程は後日掲載いたします。皆さん、今は「STAY HOME」です。細心の注意をお願いします。 2020年4月27日(文責 大野啓文)
<お問い合せ先>
西淀病院 医局宛て
〒555-0024 大阪市西淀川区野里3-5-22
電話:06-6472-1141 FAX:06-6474-7685