第10回 西淀病院喘息学習会
日時:2017年7月8日(土) 14時~16時
場所:西淀病院医局会議室
参加者19名。今回も盛況で資料増刷しました。参加いただいた皆さんありがとうございました。
報告者 大野啓文
① 講義1 今年の日本呼吸器学会、日本アレルギー学会から報告 講師:大野啓文医師
(1)超高齢化社会におけるぜんそく治療
- 高齢になると吸入する力が落ちてくるがそばが啜って食べられるくらいのなら大丈夫
- 現在75歳以上の喘息患者はCOPDを合併する人が半数位あるともいわれる
- 加齢と共にフレイル(要介護状態に陥る前に経由する脆弱な状態)状態になる。筋力も落ちてサルコペニア状態になるのでそのチェックの方法と対策、また呼吸に影響する加齢に伴う亀背にならないための予防体操などもビデオで説明しました。
(2)最近の若い人(35歳以下)の喘息発作入院する患者さんの背景は
❶ 喫煙者 ➋ ぺット飼育者 ❸ 副鼻腔炎(蓄膿)合併者 ❹ 定期通院なし ❺ 発作止めのみの使用
の割合が年々増加。禁煙や蓄膿の治療、吸入ステロイドを使用することが重要です。
(3)喘息の発作でも仕事が休めず喘息死する人がいる。そういう人たちを労働災害に認めさせようと裁判で頑張っている半蔵門病院の灰田美智子先生の取り組みの紹介
(4)喘息の患者さんに多い睡眠時無呼吸症候群と誤嚥の関係について。物を飲み込んだ後の最初の呼吸が呼気だといいが吸気の人がいて誤嚥しやすいこと。睡眠時無呼吸症候群のチェックリストも説明しました。
(5)吸入するときの舌を下にさげて吸うと薬がよく入ります。「ほ」という言葉を言うときの舌の位置です。(なお吸入手技についのDVDは「環境保全再生機構」のホームページにて手に入れることができますので参照下さい)
② 講義2「喘息の治療薬について~吸入ステロイドを中心に~」 講師:津森美保薬剤師
気管支喘息の症状、リモデリング、治療目標、治療ステップ、各種吸入ステロイド薬の特徴など3Dのコンピュータ・グラッフィックの画像を使ってわかりやすく説明。また今度発売される1日1回使用の吸入ステロイド(パウダー製剤)アニュイティの紹介もしました。津森さんの計算ではアニュイティは吸入ステロイドをたくさん吸っている場合は今までの吸入ステロイドの中で一番安価(半分くらい)になります。1日1回ですむ吸入ステロイドは今までオルベスコがエロ・ゾル剤でありましたがパウダー製剤では初めてです。
③ 講義3「アンガーマネジメントの紹介」 講師:大野啓文医師
40年以上前にアメリカから始まった考えで怒ることは決して悪いことではなくいかに後悔しないような怒り方をするか、また怒るという行動の背景にその人固有の価値観があり、それに気が付いていかに怒りをコントロールしていくのかという内容。最近よくアンガーマネジメントのセミナーや本の出版が行われています。先日も、スポーツ紙(日刊スポーツ)にも「怒りの処方箋・・アンガーマネジメント」として連載のコラムができていました。喘息患者さんはどうしても怒ることに躊躇し我慢する人が多いようですのでとりあげました。「アンガーマネジメント」という言葉を聞いていた人は一人しかおられず、みなさん興味深かったようです。興味のある方は書店で1000円前後で多種類でていますので参考にしてください。
感想
- アンガーマネジメントの話に興味があり参加。大野先生自身の例にしての話はわかりやすいものでした。
- 怒ることが多いので、アンガーマネジメントの話が参考になりました。
- アンガーマネジメントという言葉も知り、有り難かった。
- アンガーマネジメント興味深かったです。
- 吸入薬の紹介、使用方法よくわかりました。
- 薬のお話よくわかりました。
- 非常に勉強になりました。無料で非常に良い会と思いました。
- 久しぶりに先生や参加者に再会できた。
- 忙しい中、先生・薬剤師さんありがとうございます。続けて下さったらありがたいです。
今回で2年間担当していただいた津森薬剤師さんが交代になります。お疲れ様でした。
津森さんのご挨拶
「2年間お世話になりました。この学習会を通して、私自身もとても勉強になりました。本当にありがとうございました。」
次回から担当薬剤師さんは各務(かかむ)洋平さんになります。
今後の予定
第11回西淀病院喘息学習会
日時:2018年3月17日(土)14時~16時
少しまだ寒い時期になります。講演内容など決まりましたらまたHPに掲載いたします。
連絡先を登録していただいた方には別途連絡します。よろしくお願いいたします。
<お問い合せ先>
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