きらっと看護 ②血液浄化室
人工透析とは腎臓の機能が
正常の10%以下に低下した人がうける治療です。
腎臓が働かなくなると尿から老廃物や水分が
適切に排泄されなくなり、尿毒症・水分過多による
心不全等の症状が出てきます。
放置すると生命に関わるため、
本来は腎臓を介して尿に捨てている老廃物・余分な水分を
除去していく代替治療が必要になります。
それが人工透析です。
腎臓は一度機能を失うと元には戻らないので、
透析を始めると一生続けていく必要があります。
当院の透析室には60数名の患者さんが、
1回4時間の治療を週3回受けるために通院されています。
当院に通院されている患者さんの約半数が70歳以上で、
最近は認知症が進行している一人暮らしの患者さんが増加しています。
体重増加の度合いが増えていたり、透析日を間違えたり、
薬が「余っている」「足りない」という訴えが
増えてきたら要注意です。
透析はその人の命をつなぐために欠かせない治療。
その人らしく人生が全うできるように、
透析室で取り組んでいることを紹介します。
Aさんは70歳代男性。
2年前に妻が死亡され、独居になってから体重が増えすぎて
透析中に血圧が下がってしまい、治療が困難になりました。
自宅訪問をし、介護申請も行い、娘さんの援助と、
週2回介護サービスに入ってもらい
コントロールできるようになっていました。
ところが認知機能の低下により内服がきちんとできなくなって
夜間徘徊なども起こるようになり、
再び体重コントロール不良、透析困難となりました。
内服を確実にするために内服回数を1日一回にし、
透析日は透析終了後に飲んでいただくように変更しました。
また、透析日でない日、夜間に来院された時などに
声がかけられるように受付事務の職員にも協力を依頼しました。
病院と自宅の行き来が安全に行えるように
個別送迎の利用も開始しました。
家庭訪問を繰り返し、娘さんと面談する中で、
娘さんの家の事情もあり同居は難しいけれど、
一人で出来るところまで好きなように過ごさせてあげたい
と思っておられること、ご本人も動けるうちはここに居たい
と思っておられることがわかりました。
地域の見守りネットワークにも登録されており、
地域や多職種と連携しながら治療の継続を支えています。
本人や家族の思いに寄り添いながら支えていくには
たくさんの人の協力が必要です。
今後もたくさんの人と一緒に悩みながら
『患者さんの人生によりよく寄り添える』こと
を目指して頑張りたいと思っています。