【 story2 】 救急外来 一瞬を見逃さない①
金田 さえ子
看護師暦23年
西淀病院入職17年
病棟経験後外来勤務
24時間365日「断らない」西淀病院の救急外来には、
年間2000件以上の救急搬送が入ってきます。
脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、交通事故、誤飲、薬物中毒、
心肺停止で運ばれてくる方もあります。
トリアージで治療や搬送先を決定します。
医師と看護師の夜間救急の緊張感はなかなかとけません。
次から次へと来られる新しい患者さんを、
限られた時間の中でしっかり把握して適切な治療につなげていく。
そこにはたくさんの刺激と学びと感動があります。
そんな中にあっても、西淀病院の外来は
「気になる患者さん」を訪ねて地域に向かいます。
〈 深夜通院の患者さん 〉
真夜中0時、30代男性Aさんが
「死にたい」と言って自ら駆け込んできました。
身なりや喋り方などから生活が困窮しているだろうことが伺えます。
話を聞くと、生活保護で一人暮らし、
かつ精神科クリニックに通っているということでした。
精神科病院は、夜間の対応で受け付けてくれるところは
なかなかありません。
西淀病院には精神科がありませんが、
救急は「断らない」のが原則です。
Aさんはそれから毎日、夜中0時を過ぎると
病院にやって来るようになりました。
紹介状を書いた精神科にもきちんと受診はしていました。
ただ「夜がとても不安」ということで毎日通ってきました。
そして看護師と15分ほど話すと、
すっきりしたように帰って行くのでした。
もちろん職員の中には、専門外である精神科の
患者さんの受け入れに不安を感じる声はありました。
〈 気になる患者さん訪問 〉
西淀病院では、職員が気になると思えば、
「気になる患者さん訪問」として
様々な職種が患者さんを訪ねます。
特に細かなルールもありません。
家庭や地域での様子などから、
より良い治療や生活環境の改善の可能性などを探ります。
救急外来でも同様に看護師の手が空けば出かけています。
他職種でのカンファレンスを行い、
Aさんの自宅を訪ねることになったのは6ヵ月後のことです。
出向いたのは、主任の金田看護師と新人の日田看護師、
医師やセラピストなどでした。
この時には、西淀病院の地域での医療を
知ってもらう機会として
研修医も参加する取り組みでもありました。
次回へつづく…