【 story1 】 小児 子どもの貧困の狭間で③
「格差社会」に抗して。私たちと一緒に。
のざと診療所 小児科医師
前背戸 公明
「母と住むのに耐えられなくて飛び出してきた」
「心配しているんじゃ?」
「絶対そんなことない」
楽天的な彼はバイトも転々として
(てんかん発作が理由かもしれない)
バイト料はすぐ使い切り、居候先の姉に追い出され、
こちらがハラハラしていました。
しかし実に好青年。
ひねたところや悪意がありません。
「これからどうする?」と尋ねると、
「バイトで金を貯めて調理師の資格を取りたい」と言う。
困った時は必ず信頼できる「大人」に相談する、
もし思いつかなかったら自分のところへ連絡を と約束させ、
同じ民医連の病院を紹介しました。
この少年には相談できる「大人」がいなかったのだろう。
ケースワーカーや看護師さんは親身に相談に乗りました。
医療費という前に食事をどうするのかという問題です。
社会性も経験もない、高校中退の若者に
「格差社会」は甘くない。
「子どもの貧困」は子ども『だけ』ではなく、
格差社会=貧困社会 で親も追い詰められています。
医療は本来疾病の治療が使命ですが、
社会的に生み出される疾病もあります。
この「格差社会」で少しでも「溺れそうな」人たちの力に。
「あなた」も私たち民医連と一緒に
「足掻いて」いただけないでしょうか。
― story1 完 ―