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帰宅への思いが強い患者様に寄り添った看護:5階病棟
今月は5階病棟が担当させて頂きます。 今回は帰宅への思いが強い終末期の患者様へ寄り添った看護について、5階病棟の粕谷師長さんに話を伺いました。 **************************************** Aさんは終末期の患者さんで、病状進行に伴い食事も食べられない方でした。とにかく「家に帰りたい」としか言われず、このままサービス調整(区分変更)中に亡くなるだろうと思っていました。しかし、他職種カンファレンス(医師、看護師、MSW:医療ソーシャルワーカー、リハビリスタッフ、薬剤師、栄養士などの医療従事者の話し合い)で、とにかく一回外出しましょうとなり、それを本人に伝えるといつも無表情なのに、笑顔が見られました。主治医、師長、MSW、リハビリスタッフ、介護タクシーの方の5人で出発。ちなみに、介護タクシーとはリクライング車いすのままで乗れるタクシーです。 途中、リクライニング車いすで近所のコンビニに寄り、A氏が大好きなタバコと炭酸ジュースを購入。 自宅はアパートの2階だったので自宅に着くと、5人で担ぎ上げることになりました。自室でタバコを吸い、炭酸ジュースを飲んで、至福の表情でした。「先生ありがとう。本当にありがとう」と何度も繰り返し言っておられました。「また、ここに帰るんや」とはっきり言われました。 病院へ帰院後から、お寿司や焼き鳥、カップスープ、カップラーメンと、少しずつ摂取されるようになり、本人の“生きる気力”が戻ったと確信しました。 “生きるを支える”看護を改めて実感しました。その後、地域包括ケア病棟に転棟され、約3週間後に自宅へ退院する事が決まりました。退院当日、4階師長とみんなで再び2階の自宅へ担ぎ上げての退院となりました。その翌日、静かに息を引き取られました。本当に間に合ってよかったと思います。A氏が自宅で過ごせたのはたった一日だけでしたが、病棟スタッフや他職種、地域の診療所、全員が協同して患者さんに寄り添うことが出来て、本当に良かったです。 **************************************** 粕谷師長さんに、看護師として師長として大切にしていることを聞きました。 「患者さんから出発する看護、退院調整が主になってきているが、その中でも立ち止まって、この人はどうしたいのか、どうなりたいのかを考えて、困難でも患者さんが参画できるようにすること。そして、1人で決めない、1度で決めつけない。患者さんの事は師長・主任で悩んで、職場内で悩むこと。言いたいことは言い合える職場作り。“やさしさは見えない薬”という言葉を忘れず、患者さん・家族に真摯に向き合ってケアしていくこと」 5階病棟は急性期病棟ですが、がんの告知直後の患者さん、ターミナル期の患者さん、認知症の患者さん、手術前後の患者さんなど様々な患者さんがおり、とても忙しい日々を送っています。その中でも忙しさに流されずケアする大切さを、今回の事例と師長さんの話を伺って再認識することができました。 看護という仕事は正解はないし、日々悩むことが多いですが、その分とてもやりがいのある仕事です。少しでも興味のある方はぜひ見学に来て下さいね。
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